ポップガードまたはポップスクリーンは、レコーディングマイクの前に取り付けられた網のようなもので、プロのボーカルレコーディングの現場では、ほぼ必ず使用します。僕自身、スタジオや自宅録音で使い続けてきましたので、ポップガードの基本からその種類とおすすめ製品までを、実体験を交えて詳しく解説します。
レコーディングの時のエピソード
バンドのボーカルレコーディングでのこと。僕のコーラス録りが終わり、ボーカルパートに入ると、エンジニアがコンデンサーマイクだけでなくポップガードまで別の種類に交換しました。マイクを替えるのはよくあることですが、ポップガードまで?と疑問に思い尋ねると、「意外に音が変わるんだよ」との答え。このことで、ポップガードの選び方が音質に与える影響の大きさを知りました。
ポップガードとは?その基本的な役割
ポップガードは、録音時にマイクの前に設置するフィルターで、「ポップ音」や「破裂音」を軽減するものです。例えば、「P」や「B」といった子音を発音した際、息の勢いでマイクに不快なノイズが入ることがあります。これを抑えることで、音声がクリアになり、結果として録音全体のクオリティが向上するんです。
また、マイクに近づき過ぎないという利点もありますね。金属製のタイプは唾(ツバ)がいっぱい飛んでも簡単に拭いたり洗ったりできるので、衛生面にもイイですよね(笑)
さらに、ポップガードは湿気や唾液からマイクを保護する役割も果たします。特にコンデンサーマイクは湿気に弱いため、機材を長持ちさせるためにも重要です。
ポップガードの種類と特徴
ポップガードには、主に布製と金属製の2種類があります。それぞれのメリットとデメリットを簡単にまとめてみました。
1. 布製ポップガード
- メリット: リーズナブルで手軽。初心者にも扱いやすい。
- デメリット: 高音域が若干こもることがある。
- こんな人におすすめ: コストを抑えたい方や、初めて録音環境を整える方。
2. 金属製ポップガード
- メリット: 高域特性が良く、クリアな音質を保てる。耐久性が高い。
- デメリット: 布製に比べて価格が高め。
- こんな人におすすめ: 音質を追求したい方や、頻繁に使用するプロフェッショナル。
さらに、取り付け方法にもいくつかのタイプがあります。例えば、クリップ式は手軽ですが位置調整に限界がある一方、クランプ式は安定感があります。
ポップガードの取り付け方法
ポップガードの取り付け方法について調べてみたので、以下3種類について説明します。
1. クリップ式
取り付け方法:
クリップ式ポップガードは、マイクスタンドやデスクの端にクリップで挟むだけで簡単に取り付けることができます。
特徴・利点:
簡単に設置できるため初心者や一時的な使用に適しています。特別な工具を必要とせず、軽量で持ち運びがしやすい点が特徴です。取り外しも簡単で、必要なときだけ使用できる便利さも利点です。
注意点:
安定性に欠ける場合があり、長期間の使用には向かないことがあります。
2. クランプ式
取り付け方法:
クランプ式ポップガードは、ネジを使ってマイクスタンドやデスクにしっかりと固定します。
特徴・利点:
固定力が高く、安定した録音環境を提供します。さまざまな環境で使用できる調整機能があり、耐久性にも優れています。プロのレコーディング環境でも利用されており、一度取り付ければ長期間そのまま使用できる点が特徴です。
注意点:
取り付けに少し手間がかかる場合がありますが、その分しっかりと固定されます。
3. カゴ式
取り付け方法:
カゴ式ポップガードは、マイクに直接かぶせるように取り付けます。ゴムバンドなどで固定することが一般的です。
特徴・利点:
マイクを覆う形状をしており、広範囲の音をカバーします。視界を遮らないため録音中の視認性が保たれ、マイクの移動に合わせて位置調整する必要がないため手間がかかりません。コンパクトなデザインで、特にPCマイクなどに適しています。
注意点:
サイズによっては、特定のマイクにしか使用できない場合があるため、購入前に確認が必要です。
ポップガードの正しい使い方
ポップガードを使う際には、マイクとポップガードの距離、そしてポップガードと口との距離が重要です。一般的には以下の距離を目安にすると良いと言われています。
- マイクとポップガードの距離: 3〜7cm
- ポップガードと口の距離: 5〜15cm
この設定を守ることで、ノイズをしっかり抑えつつ、録音のクリアさを保つことができます。
ポップガードの使用シーン
ポップガードは、スタジオ録音だけでなく、以下のような場面でも活躍します。
- ポッドキャスト: 聴きやすい音声を配信するために。
- YouTube動画制作: 高品質な音声で視聴者を引きつける。
- 自宅録音: 趣味での音楽制作やナレーション録音に。
ポップガードが変える録音体験
当時、宅録でもポップガードは使っていたものの、特に興味がなかったのでメーカーやタイプもよく考えないで使用していました。
その頃はナイロン系の素材のタイプを使っていたのですが、Seide社製の金属のタイプに替えてみたところ、音(音の抜け)が良くなりました。マイクに入る前に声が通る所なので、意外に重要なんだなと再認識しました。
まとめ
ポップガードは、録音クオリティを向上させるためのシンプルかつ効果的なアイテムです。その役割は単なるノイズ防止にとどまらず、機材の保護や衛生面の向上、そして音質改善まで多岐にわたります。僕自身、布製から金属製に切り替えたとき、音の抜けが格段に良くなったことを実感しました。録音の質にこだわるなら、自分に合ったポップガードを選ぶことが大切です。初心者からプロまで、その効果をぜひ体感してみてください!